国産のきぬあ栽培に挑む高校生たち

約 1 分
国産のきぬあ栽培に挑む高校生たち

 きぬあは「キヌア」のことですが国産の製品の販売はほとんどありません。南米原産ボリビアやペルーで作られる、ホウレン草やピートと同じヒユ科アカザ属の植物です。そのため、ひえや粟のように日本で古来から食べられてきたという歴史はありません。しかし、アマランサスと並ぶスーパーフードと言われるようになり、様々な穀物や食物の自給率が低迷する今の日本の食事情を改善する疑似穀物として注目されています。

国産きぬあへの道

 2000年に入り、健康ブームから雑穀への関心が高まりました。その中で日本古来の雑穀、ひえアワ、玄米などは、容易に手に入ることから、食物アレルギーの代用品としても用いられるようになります。しかし、きぬあは日本での栽培は難しく、輸入に頼っているため、価格が高く、品質も安定していないという問題があります。そこで、国内でも栽培できないものかと、取り組みを始めた人たちがいます。

〈山梨県での取り組み〉
2003年、山梨県では山梨県総合農業技術センター栽培部作物特作科の先導で日本初の本格的な国産きぬあ栽培の取り組みを始めました。山梨県は、原産国の南米に多い「日照時間が長く冷涼で雨がほとんど降らない」という気候と山梨県中間・高冷地の気候が類似していることから、当時からブームとなった雑穀生産の取り組みとして「きぬあ」の栽培を始めました。
 現在山梨県では上野原市で「農業生産法人 上野原ゆうきの輪 合同会社」が国産きぬあを栽培販売しています。

〈京都府桂市の取り組み〉
京都府桂高校の専門学科では、「地球を守る新技術の開発」を目的とした植物クリエイト科と園芸ビジネス科があり、こちらの専門学科と草花クラブを中心に高校生たちがきぬあ作りを続けています。
京都府桂高校では、2006年に「Stockholm Junior Water Prize」において、ペルーの高校生による高塩類濃度下での発芽研究報告を目にしたことがきっかけで「キヌア」の栽培に興味を持ち始めます。彼らは、指導を行っている顧問の佐藤先生のもと、2012年には各種栽培実験を行い特性の把握に努めました。

桂高校の取り組み

大学の先生方が難しいという中で、顧問の佐藤先生を中心に桂高校では、2014年から栽培を開始しました。高騰する輸入のきぬあに対して、国産のきぬあ作りは、価格だけでなく、品質の高さが守られることもあり、高校生たちの研究開発が続きました。

〈品種の選定〉
まずはペルーとは異なり、冬が寒く強風が吹く京都の地域でも適したきぬあの選定から始まりました。キノアは茎があまり固定されてないことから草丈が高いのもは風に弱いため、低い品種を選抜して利用しました。学校ですじ播きテストを行った後、農業法人の作
付け体系をそのまま生かす試みとして、水稲の後作としてのキノア導入を提案、二期作での利用、圃場の有効活用など産地として後に続く研究をしました。
 そのため、住宅地の学校内ではなく、他の地域に10aの作付けを実施、さらに面積を増やし、ha 単位での大規模栽培を実施し、と取り組みを広げています。

〈桂高校のきぬあ食品〉
 桂高校は安全で健康にいい食材として、きぬあの味噌、しょうゆさらに、地元洋菓子店からはケーキやプリン、クッキーとしての販売も開始した途端、地元のみならず健康志向の人や妊婦さん、食物アレルギーの子どもたちと幅広い消費者に知られることになりました。特に食物アレルギーを持つ子どもたちの主食の代替食品としての可能性が高まり、ますます注目されています。
 現在はマーケティングも考慮し、平成22年度農林水産省 加工・業務用産地育成事業への申請が通り、桂市は全国に「国産きぬあ」の産地として広まっています。

Leave A Reply

*
*
* (公開されません)

CAPTCHA