雑穀の中でも、特に栄養価が高い「キヌア」と「アマランサス」をスーパーフードと呼んでいます。一粒の中に、炭水化物はもちろん、糖質の過剰摂取を防ぐ食物繊維、ビタミンB群、そして豊富なミネラル(無機質)のカルシウムを含む雑穀です。
しかしその栽培は難しく、特にキヌアは今各地で国産キヌアの栽培を始めたばかりで、中々手に入れることができません。さらに、同じスーパーフードと呼ばれているものでも、キヌアとアマランサスは含まれているものが違い、美容やダイエットへの効能は少し異なります。
キヌアの特徴
キヌアはヒユ科アカザ亜科アカザ属の植物でほうれん草などと同じ種になります。数千年前から食用として栽培され、疑似雑穀と呼ばれています。ヒエやあわ、キビといったミレットと比較し、栽培して入り地域が限られており、ペルー、ボリビア、アクアドルで栽培され、日本のものも、ほとんどがペルー産です。
〈栄養価〉
キヌアはたんぱく質を多く含み、他にもビタミンB群、ミネラルを豊富に含みます。特に穀物に不足がちの必須アミノ酸リシンを多く含むことで、白米や他の雑穀米と混ぜると、雑穀ご飯そのもののアミノ酸価を高めて、他の食品と食べ合わせることなく、「たんぱく質の補足効果」を得ることができます。
また、多価不飽和脂肪酸の中の必須脂肪酸、n-3系のリノレン酸を多く含みます。
〈栄養価による効能〉
脂質は、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸を3:4:3の割合で取ることを理想としていますが、肉食が好きな人は、どうしても飽和脂肪酸に偏ります。飽和脂肪酸の摂りすぎはLDLコレステロールを増加させる働きがあり、細胞膜や性ホルモンの形成にはなりますが、摂りすぎると、動脈硬化や高血圧などの生活習慣病の原因となります。一方、多価不飽和脂肪酸は、ごま油や菜種油、魚油などに多く含まれますが、リノール酸などのn‐6系とリノレン酸のn‐3系では、同じ多価不飽和脂肪酸でも逆の性質を持ち、n‐6系を多く取ると、気管支や血管を収縮させ、n‐3系を多く取ると、拡張させるという働きがあります。そのため、アレルギー体質の人は、n‐3系を多く取ると良いと、されています。しかし、n‐3系は魚油やシソ油などから多く取ることはできますが、魚好きの人でないと、日常の食生活で多くとることは、難しいとされています。
キヌアは、そのn‐3系のリノレン酸を多く含みますので、喘息などのアレルギー体質の人には最適な雑穀と言えます。
しかし、キヌアは国産のものが少なく、輸入のものが多いため、しっかりとした輸入業者が選別したものを選ばないと、ダニやカビといったトラブルもあり、逆効果になってしまいます。こういったことに注意し、理想的なキヌアを選別し購入しましょう。
アマランサスの特徴
アマランサスはヒユ科ヒユ属(アマランサス属)の植物です。2010年スーパーグレインとして注目され、ビタミンA,C,E、K、B6,ナイアシン、葉酸を多く含む雑穀として注目されています。
〈栄養価〉
たんぱく質は白米の2倍、キヌアよりも、カルシウム、リン、マグネシウム、鉄分といったミネラルの含有量が多く、妊娠中の女性に必要な亜鉛を多く含みます。穀物に不足がちなリシンを多く含むのが特徴です。
〈栄養価による効能〉
アマランサスの特徴は、ミネラルの豊富さです。特に鉄分、カルシウム、リン、マグネシウムは貧血を予防する効果があります。さらにホルモンバランスを間接的に整える働きもあります。さらに亜鉛を多くふくみますので、妊娠中の女性には大変有効な雑穀です。さらに抗ストレスホルモンと呼ばれる、ビタミンB群の一つ、パントテン酸を多く含み、睡眠ホルモンのメラトニンの原料のトリプトファンも多く含みます。
妊娠中、よく眠れないという人は、ぜひアマランサスを白米に混ぜて、ケーキ作りに、パスタやサラダに、と食べて下さい。
*リシンとリジンは同じもので、ネットのサイトは「リジン」になっていますが、現在の高等学校の家庭科、理科系の教科書は「リシン」となっているものがほとんどです。